マルセイユのブイヤベース |
今日からしばらく食べ物の話をします。 私がフランスにいた時に実際に食べたことがあるものを中心に紹介していきますのでよろしく。 ということで、最初に取り上げるのはマルセイユのブイヤベースです。 まず、マイセイユの紹介から。 マルセイユは人口110万人の南仏プロヴァンス地方の政治と経済の中心都市で、わりと有名なので日本でも名前は結構知られていると思います。 しかし、実際にいったことのある人は少ないでしょう。 マルセイユは乱雑で汚い印象があり、また、その大きさのわりには観光的に見るところがほとんどないからです※(近くのニースやカンヌの方がずっと人気が高い)。 ※そう言えばアレキサンドラ・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」(または「岩窟王」)の主人公エドモン・ダンテスが幽閉されていたとされる監獄島、イフ島(私も見学に行きました)があります。 マルセイユで見るべきものと言えば名物料理「ブイヤベース」くらいでしょう(マルセイユの人は怒るでしょうが)。 ブイヤベースは日本でも結構食べられるところがありますから、知っている人も多いと思います。 世界3大スープの一つとされており(残りの二つは、「ふかひれスープ」と「トムヤムクン」)、また「黄金のスープ」とも呼ばれています。 ブイヤベース(bouillabaisse)のもともとの意味は、「ぐつぐつ煮る(bouillir、ブイヨン(bouillon)も同じ語源)」で、漁師が市場で売れ残った小魚を大鍋でごった煮したのものが起源のようです。 ところで、驚くかもしれませんが、実は本格的なブイヤベースには海老や貝類は入れてはいけないんですね。 マルセイユには「ブイヤベース憲章」なるものがあって、「本物」の作り方を厳しく規定しています。 まず、食べる魚は、地中海の岩礁に住むものに限定され、海老や貝類は入れません。 そして、最低4種類以上の魚を入れること。主に、アナゴ、ホウボウ、カサゴ、マトウダイ、タラなどが入ります。 スープは小魚でとりますが、この小魚の種類も決められています。 だから、日本では、大抵の店でハマグリやムール貝、伊勢エビなどを入れたものをブイヤベースと称して出しますが、本物とは言えないことになります。 ただし、フランスでも同様の傾向が見られ、憲章通りのブイヤベースを出す店はむしろ少数派で、貝類、海老などが入ることが多いようです。 実際、マルセイユの旧港にずらりと並ぶブイヤベース専門店でもたいていはロブスターが入っていることを売り物にしています。 まあ、何が入っているにせよ、ブイヤベースは美味いですね。 サフラン※のいい香りのついたスープで煮込まれた魚とロブスター。 ロイユ(唐辛子、ニンニク、オリーブ油で作った一種のマヨネーズ)を溶かし、クルトン(細いバゲット状のパンを切って軽く焼いたもの)を入れて食べます。 ※ サフランと言えばものすごく高いスパイスですが、ここでまたしても役 に立たない薀蓄を一発。サフランとクロッカスは同じ花で、日本ではサフランと言えば秋咲き、クロッカスと言えば春咲きのものを指します。通常、めしべの頭柱を乾燥させた粉が香料、調味料、染料、薬用などに用いられます。 ワインは当然白ワインです。 プロヴァンス地方も高級ではありませんが、ワインの産地なので、せっかくですから、あるのならプロヴァンス産のものを飲むといいでしょう。 では。 |
by fwnd9951
| 2010-02-02 17:31
| エンターテイメント
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